オーダーメイド住宅とは
オーダーメイド住宅とは、住まわれるお施主様の要望を取り入れた設計と建築を施した新築一戸建ての住宅のことで、注文住宅と呼ばれることもあります。
部屋数や間取り、収納スペース、外観デザインやインテリアなど、すべてが既定の型にはまることなく、自由度を持ってつくれるのが大きな特徴です。
オーダーメイド住宅の種類として、大きく分けると以下の2つに分けることができます。
- セミオーダー
- フルオーダー
■ セミオーダー住宅
セミオーダー住宅とは、住宅メーカーが提案するラインナップから、間取りや構造などについて、好きなパターンを組み合わせて設計を進める注文住宅の一種です。フルオーダー住宅と建売住宅の中間に位置するイメージです。
すでにあるプランを活用するもので、大手の住宅メーカーの中には、セミオーダー住宅を注文住宅と謳っている会社もあります。
自由度でいえばフルオーダー住宅にはかないませんが、住宅メーカーによっては、基本となる設計プランを100から場合によっては数百ぐらい持っているところもあり、最大公約数的にさまざまな要望を満たすように設計されています。
また、セミオーダー住宅は、構造や性能などについての変更はできません。使用する木材や断熱材などの基本的な仕様はあらかじめ決まっています。セミオーダー住宅はあくまでも「用意された選択肢から好みに応じて選ぶこと」をコンセプトにしていますので、完全に一から作り込むことが想定されているフルオーダー住宅に比べると自由度は下がります。
ただし、コストはフルオーダー住宅より低めに価格設定されていますので、セミオーダー住宅にするのかフルオーダー住宅にするのか考えるときは、要望と予算のどちらの優先順位が高いかをご家族で話し合うことが大切です。
■ フルオーダー住宅
フルオーダー住宅は、住宅に関する全ての仕様を自由に決めることができる新築住宅です。外観デザインや間取り、エクステリア、インテリア、キッチンやお風呂、トイレなど、あらゆる面で自分のこだわりを反映することができます。
フルオーダー住宅の設計の中心となるのは、施工主です。住宅メーカーのスタッフと納得いくまで打ち合わせを重ね、唯一無二の新築住宅をつくり上げます。フルオーダー住宅だと、家族全員の希望を取り入れることができ、ピアノ室やホームシアターで音楽や映画を楽しんだり、オープン階段をリビングに取り入れたり、二世帯住宅にすることも可能です。デザインに自信があれば外装を手掛けることもできます。
フルオーダー住宅は、建築に関する豊富な知識と潤沢な資金を持ち、ライフスタイルにこだわりを持つ人におすすめです。しかし、自社の能力では「手間がかかりすぎる・保証がしにくい」という理由から、フルオーダー住宅を敬遠する住宅メーカーもあるようで、セミオーダー住宅を勧めるケースも少なくありません。
費用はどれくらいかかる?
フラット35の利用者を対象に住宅金融支援機構が行った「2019年度の統計調査」によると、オーダーメイド住宅(注文住宅)の住宅面積は全国平均で125.8㎡(約38坪)、建築費の全国平均が3,452.4万円、土地付きオーダーメイド住宅の住宅面積は111.5㎡(約34坪)、建築費は2,874.3万円、土地取得費は1,382.5万円です。
一方、建売住宅の住宅面積は全国平均で101.1㎡(約31坪)、建築費の全国平均は3,494.3万円となっています。
建売住宅は土地と建物をセットで購入するため、数字だけを比較すると、オーダーメイド住宅より建売住宅の方が高くなっているのですが、土地購入費用込みの値段にすると、オーダーメイド住宅は、4256.8万円になるので、やはりコストはオーダーメイド住宅のほうが高くつきます。
オーダーメイド住宅が高くなる理由は、施工主の要望に応えるため、標準的でない部材の使い方が必要だったり、大工さんの作業工程が増えたりすることが原因です。また一般的に、オーダーメイド住宅の方が、建売住宅よりも耐震や断熱等の性能が高く、アフターメンテナンスや長期保証体制も整っていることが多いです。その結果、建売住宅より価格が高くなってしまいます。
■ セミオーダー住宅
セミオーダー住宅の坪単価の相場は、約45万円~60万円で、一般的な大きさとなる30坪で換算すると、1,350万円~1,800万円となります。
坪単価の計算では家の本体価格が使われており、本体価格は家を建てるときに必要な総費用の75%ぐらいに当たります。
総費用を計算すると、
1,350万円÷0.75=1,800万円
1,800万円÷0.75=2,400万円
総費用は約1,800万円~2,400万円となり、この金額に土地代が加算されます。
新築住宅の広さ、木造や鉄骨造りなどといった構造的な要素、立地条件などでも坪単価の相場は変動しますが、30坪のセミオーダー住宅の総費用の上限は2,400万円ぐらいと考えておくといいでしょう。
■ フルオーダー住宅
フルオーダー住宅の坪単価の相場は、約60万円~80万円で、一般的な大きさとなる30坪で計算すると、約1,800万円~2,400万円となります。
坪単価の計算では家の本体価格が使われており、本体価格を0.75で割ると、大まかな総費用が計算できます。家の建てるときにかかる総費用を計算すると、約2,400万円~3,200万円となり、この金額に土地代が加わることになります。
新築住宅の広さ、素材、場所によって坪単価の相場は変動します。フルオーダー住宅の総費用の上限はあってないようなものですが、30坪の住宅で大体3,200万円ぐらいと考えておきましょう。
■ オーダーメイド住宅の価格シミュレーション
オーダーメイド住宅を建てる場合、家の本体工事費以外にも、別途工事費や諸費用がかかります。本体工事費は一般的に総費用のうち75%程度で、別途工事費に20%程度、諸費用に5%程度が必要となります。
別途工事費は、付帯費用と呼ばれることもあります。内訳は、エアコンや照明、建物と前面道路の高低差を解消する擁壁工事費・外構工事費用など、家に住むために必要となる費用全般が含まれています。諸費用は、登記費用、住宅ローン関連の諸費用、火災保険料などがあり、諸費用だけで100万円から場合によってはそれ以上になることもあります。
実際に、夫婦と子ども2人の4人家族、延床面積34坪、2階建ての木造住宅を基準に、価格をシミュレーションしてみましょう。
2階建ての場合、1階分の広さが17坪、畳に換算すると約34畳分です。1階に玄関、トイレ、洗面所、浴室など合計8畳分を設置するとして、1階の残り24畳分をリビングキッチンに、2階は9畳程度の個室を3部屋作り、寝室や子ども部屋にすることにしました。
工法や立地条件などによっても価格は異なるのですが、セミオーダー住宅の坪単価を50万円、フルオーダー住宅の坪単価を70万円と仮定します。
●セミオーダー住宅の場合
坪単価に坪数をかけることで家の本体工事費が計算できます。
50万円×34坪=1,700万円
本体工事費を0.75で割ると大まかな総費用が計算できます。
1700万円÷0.75=2,267万円
さらに
別途工事費は、2,267万円×0.2=453万円
諸費用は、2,267万円×0.05=113万円
となります。
●フルオーダー住宅の場合
坪単価に坪数をかけると、家の本体工事費が計算できます。
70万円×34坪=2,380万円
本体工事費を0.75で割ると大まかな総費用が計算できます。
2,380万円÷0.75=約3,173万円
さらに
別途工事費は、3,173万円×0.2=635万円
諸費用は、3,173万円×0.05=約159万円
となります。
あくまでもこの計算方法は簡易的に予算感を把握するためのものです。解体工事が必要な場合や、こだわりのお庭づくりをされたい場合、防火対策が必要なエリアで建築する場合などは予算が上昇しますので、正確な予算を知りたい場合には、個別に住宅会社に相談をしておきましょう。
オーダーメイド住宅のメリット
オーダーメイド住宅のメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- こだわりの家づくりができる
- 建築中の現場を確認できる
- オリジナリティが高い
■ こだわりの家づくりができる
自由度が高く、間取りや機能・デザインなど、細部にまでこだわることができます。長年家づくりでやってみたいことが溜まっている人、家族の夢をかなえたい人は是非自分の思い描いた理想の家を追求してください。
色も特注にしたり、自ら家具をデザインしたりすることもできます。リビングを完全バリアフリーにすることや、子どもの成長に合わせた間取りにすることもオーダーメイド住宅なら可能です。自由度の高い間取りのマイホームをつくれるのが大きな特徴です。
■ 建築中の現場を確認できる
オーダーメイド住宅にすると、施工主は施工段階から関わるため、建築途中の現場をチェックすることができます。建売住宅を購入した場合だと、新築住宅が出来上がる過程は見ることができません。
住宅の工事というのは、時間の経過とともに、隠れて見えなくなってしまう部分がでてきます。基礎の配筋や壁の中の断熱材があてはまります。こういった場所が見えなくなってしまう前にきちんと施工されているところを見ておけば、後々になって不安になることがありません。
また、こういったチェックポイントについて自ら現場を見ながら説明してくれている会社ならより一層、安心感があると思います。疑問点があれば質問して解消しておくとよいでしょう。
建設業関係者や建築の知識があるお施主様だと建築の過程の要所を確認できますが、知識が少ない場合は、現場を訪れてもチェックポイントが分からないこともあります。事前に重要なチェックポイントを調べておくのも大切です。
■ オリジナリティが高い
外観や内装を自分好みにできるとあって、文字通り「世界で一つだけのマイホーム」を作ることができます。法律の範囲内で建物の形を自由にできるのも特徴で、狭小地や、高低差が激しい変形地にも対応可能です。
オリジナリティが高いため、本当に必要としているところにお金をかけ、いらないものは思い切ってなくすなどの思い切りも必要で、家族の希望も取り入れて設計できるのが大きな魅力の一つです。これまでの家づくりに不満を感じていた方は、ゼロからつくり上げる喜びを体験することができるでしょう。
オーダーメイド住宅のデメリット
思い通りの家を建てることができるオーダーメイド住宅にも、以下のようなデメリットがあります。
- 費用が高い
- 完成形をイメージしづらい
- 実際に住めるまで時間がかかる
■ 費用が高い
オーダーメイド住宅は、最も手間のかかる方法なため、建売住宅と比べると費用がかかります。さらに、資金計画が複雑になるため、住宅ローンの借り先によっては、単純な建売の住宅ローンよりも金利を余分に払うことになる場合があり得るのも、オーダーメイド住宅の欠点といえます。
フラット35などの住宅ローンは、家が完成していないと利用できないため、オーダーメイド住宅だと融資が間に合わず、建築費の着工金や中間金を支払う場合があります。
そのような場合は、必要な資金を補うためのローンである「つなぎ融資」を利用することがあります。
「つなぎ融資」の金利は通常の住宅ローンよりも割高となっているため、その分費用がかかってしまうというわけです。こういったつなぎ融資の費用を避けたい場合は、住宅ローンの借り先を住宅会社や工務店とよく検討する必要があります。
■ 完成形をイメージしづらい
オーダーメイド住宅はゼロからつくり上げていくため、完成するまで建物が確認できず、イメージしづらい点もデメリットとして挙げられます。住宅展示場のモデルハウスだけを見て建てたところ、イメージしていた家と実物の落差にがっかりしたという人もいます。
住宅展示場にあるモデルハウスは、見せるためにつくられているため、通常より大きな建物となっています。また、モデルハウスの延べ床面積は70坪ぐらいで、実際に家を建てるときは35坪~40坪が多く、それでは2倍近くの差があります。モデルハウスだけを見て、「このメーカーなら自分の理想を叶えてくれる」と思い込むことは危険です。
*展示場の見方は《 こちら 》
失敗しないためのポイントとして、気になる住宅メーカーがあったなら、実際に設計した建物を見せてもらうようにしましょう。オーダーメイド住宅なので、自分の希望と完全に合致することはないかもしれませんが、建物をできる限り多く見ることで、建物の広さやそれに基づいた価格をイメージしやすくなります。
■ 実際に住めるまでに時間がかかる
建売住宅は、すぐに入居することができるのですが、オーダーメイド住宅は実際に住めるようになるまで時間がかかります。打ち合わせ内容が多いほど長くなりがちで、最初の打ち合わせから契約まで1~2カ月かかることも多く、当然、完成までに時間がかかってしまいます。
工法などにもよりますが、外構を含めると上棟から100~120日ぐらいかかるのが一般的です。さらに、土地探しから始める場合は、気に入った土地がなかなか見つからず、半年以上経っても家づくりに着手できないことも多いため、完成時期を逆算し、ゆとりをもってマイホーム計画を立てることをおすすめします。
まとめ
一口にオーダーメイド住宅といっても、自由度が高いフルオーダー住宅と、基本的な仕様があらかじめ決まっているセミオーダー住宅があります。
オーダーメイド住宅を建てる場合、自分の理想やこだわりを形にすることを優先してしまいがちですが、メリットとデメリットをしっかり理解した上で進めていくことが大切です。
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