注文住宅とは
注文住宅とは、自由な設計が可能な一戸建て住宅を指します。建売住宅と比較して、より好みに合った家を建てられる点が最大の魅力です。そんな注文住宅は、以下の2つに大別することができます。
- フルオーダーの注文住宅
間取り・仕様の大部分をご希望に応じて取り入れることができます。
- セミオーダーの注文住宅
あらかじめ基本的な仕様が決められており、設備、外壁の色、床などを選択肢から選ぶことで注文できます。
なお、注文住宅を建てるには以下のようなフローとなります。
【注文住宅が完成するまでのフロー】
①土地探し〜工務店選び
②住宅ローンの検討
③工務店の決定〜土地・工事の契約
④建物詳細打ち合わせ・建築確認申請〜着工
⑤注文住宅の完成〜引渡し
土地探しから引渡し(入居)まで、トータルで最低でも1〜1年半ほどかかると考えておくと良いでしょう。ただし、土地探しやプランニングに時間がかかると、その分だけトータル期間が延びます。注文住宅をご検討の方は、出来るだけ早めに情報収集や土地探しなどをはじめることが望ましいです。
注文住宅で失敗する理由とは
柔軟な家づくりが可能な注文住宅ですが、建てた後に失敗点に気づくというケースも少なくありません。その大きな理由として「注文者に設計・建築の知識が乏しいこと」が挙げられます。これが、以下のような失敗につながります。
- デザインは良いものの機能的でない(住みにくい)
- 希望を詰め込みすぎて予算オーバーする
- 子どもの誕生、成長などライフステージの変化に対応できない家になる
家づくりは「3回建てないと満足しない」と言われるほど難しい事柄です。専門知識のない一般の方では「わからないこと・気づかないこと」が多いのは当然と言えるでしょう。だからこそ「情報収集などで知識を深めること」「信頼できる工務店などのプロから話を聞くこと」が必要となるのです。
注文住宅のよくある失敗事例と対策
ここからは注文住宅のよくある失敗事例とその原因・対策を、部屋ごとにご紹介します。
- 玄関まわり
- キッチン
- ダイニング
- リビング
- 水廻り
- 居室
- 設備
- 外構・外装
■ 玄関まわり
【玄関まわりの失敗例】
設計の段階で充分な広さを取ったつもりだったが、生活を始めると玄関の狭さが気になり始めた
【玄関まわりの失敗原因】
玄関の狭さが気になるのは「玄関にどのような物が置かれるか、具体的に考えていなかったこと」が原因です。
意外にも、玄関は多くの物が集まるスペースです。一例としては靴、傘、鍵などの小物の他に、帽子、上着、レインコートを玄関に置く方もいます。さらにお子さんがいらっしゃる場合は、外遊び用のおもちゃ、習い事のバッグ、部活のスポーツバッグなども置かれ、玄関まわりが想像以上に狭くなる場合も少なくありません。
【玄関まわりで失敗しないための対策】
玄関が狭くならないためには「充分な収納のある玄関まわりをデザインすること」が対策となります。
家族が多い、靴が多いなどの場合は、あらかじめシューズクロークの設置も検討すると良いでしょう。ただし、シューズクロークを設置する際には、玄関・部屋の両方からの入りやすさを意識し、動線に配慮した設計が必要です。
■ キッチン
【キッチンの失敗例】
アイランドキッチンを導入したが、キッチンの様子が丸見えでかえって生活感が出てしまう
【キッチンの失敗原因】
アイランドキッチン導入の失敗は「実際にアイランドキッチンを使った場合のシミュレーションができていなかったこと」が原因です。
アイランドキッチンはシンクや調理スペースが独立したタイプのキッチンです。複数人で調理ができ、おしゃれなイメージもあるため高い人気を誇ります。しかし、生ゴミ・洗い物なども見えやすいため、生活感を出さないためには常にキレイに保つための工夫が必要となります。
【キッチンで失敗しないための対策】
アイランドキッチンの導入で失敗しないためには「実際の使いやすさを想定した設計・配置にすること」が対策となります。常にキッチンを整理するのは大変な場合は、目隠しとしてカウンターをつける方法もあります。
この他、生ゴミ対策としては生ゴミ処理機やダストシュートの設置、洗い物対策としては食洗機付きのアイランドキッチンを選ぶなどが考えられます。
■ ダイニング
【ダイニングの失敗例】
部屋の中央にダイニングが位置していて、昼でも暗い
【ダイニングの失敗原因】
ダイニングが暗いのは「採光を充分に考慮しなかったこと」が原因です。日当たりの良いリビングが隣に位置している場合は「リビングからの陽光が届くだろう」と楽観しがちですが、実際にはそうならないケースもあります。
【ダイニングで失敗しないための対策】
ダイニングが暗くならないためには「採光を考慮した間取りにすること」が対策となります。
具体的には、リビングからしっかり採光できるような可動式の間仕切りにする方法もあります。抵抗がなければ、リビング・ダイニング一体型の大きな間取りにするのも良いでしょう。また、周囲の部屋に充分な数の窓、もしくは充分な大きさの窓を確保することで、ダイニングの暗さを回避する方法も考えられます。
■ リビング
【リビングの失敗例】
吹き抜けを導入したけれど、暖房が効きにくいため冬になると寒く感じ、光熱費がかかる
【リビングの失敗原因】
吹き抜けのリビングが冬に寒く感じるのは「暖かい空気が上昇すること」が原因です。
明るく開放感のあるリビングの吹き抜けに憧れている方も多いことでしょう。しかし冬場は、暖房で暖められた空気が吹き抜けを伝って上昇するため、暖房効率が悪くなる場合も少なくありません。
【リビングで失敗しないための対策】
吹き抜けのリビングで冬に寒くならないためには「気密性、断熱性、空気循環に配慮しておくこと」が対策となります。
気密性、断熱性が高くない家では、暖房でせっかく温めた空気も冷えやすくなります。気密性、断熱性は、暖房効率を高めるための重要なポイントです。そこで、壁と窓には特にこだわると良いでしょう。
また、シーリングファンなどの空調システムで空気を循環させることで、部屋を効率よく暖めることが期待できます。
さらに、空気を下から温めることが出来る床暖房・床下エアコン・温水パネル等の導入も、吹き抜けリビングの防寒対策として効果的です。
■ 子ども部屋
【子ども部屋の失敗例】
子供が増えたことで、部屋が足りなくなり困っている
【子ども部屋の失敗原因】
子供部屋が足りなくなってしまうのは「可変性のない部屋にしたこと」が原因です。
性別の違う兄弟姉妹のケースはもちろんのこと、同性でも成長に従ってプライベートなスペースを欲しがることもあります。可変性のない部屋では、1部屋を1スペースとしてしか利用できないため、このような変化に対応することができません。
【子ども部屋で失敗しないための対策】
子供部屋が足りなくならないためには「あらかじめ可変性のある設計の部屋にしておくこと」が対策となります。
たとえば、予め2部屋に仕切ることを想定して後から施工できるようにしておけば、お子さんが増えた際にもそれぞれに部屋を確保することが可能です。
■ 水廻り
【水廻りの失敗例】
窓のない浴室にしたら湿気がたまりやすく、カビやすくなった
【水廻りの失敗原因】
湿気がたまりやすく、カビやすい浴室は「換気をよく考慮しなかったこと」が原因です。
浴室は日当たりの良くない北側に設置されることも多く、さらに窓もなければ、湿気が溜まりやすいのは当然です。なお、カビやすさについては床や壁の材質なども大きく影響します。
【水廻りで失敗しないための対策】
湿気がたまりやすく、カビやすい浴室にしないためには「可能なら窓を設置すること。難しい場合は特に、換気システムと床・壁の材質にこだわること」が対策です。
たとえば、浴室の壁材としてタイルは一般的ですが、デザイン以外の検討要素として、カビが生えにくい・掃除のしやすい材質かどうかも検討してみましょう。
■ 寝室
【寝室の失敗例】
寝室の日当たりが強すぎて、夏暑く、朝ゆっくり寝ていられない
【寝室の失敗原因】
寝室の日当たりが強すぎるのは「寝室の方角等が充分に考えられていなかったこと」が原因です。
朝、自然光で目覚めるのは気持ちが良い反面、休日の朝にゆっくり寝ていたいときなどは、その妨げとなることがあります。また、夏場の日差しで部屋の温度が上昇しやすく、エアコンの効きが悪くなる恐れがあります。
【寝室で失敗しないための対策】
寝室の日当たりが強くなりすぎないためには「方角・周辺状況・窓」の3点を、総合的に考慮して設計する必要があります。
方角については、南向きでは日中ずっと日が差し込むため、上記のような失敗につながる恐れがあります。一方、東向きならば昼前後から夏の日差しも和らぎますが、周辺の建物の状況や窓の位置などによって日当たりの印象は大きく変わります。どの季節でも適切な日当たりとなるように、設計の段階でプロを交えて、詳細にシミュレーションすることが望ましいでしょう。
■ 設備
【設備の失敗例】
見た目優先でコンセントの数を少なくしたところ、不便を感じる場面も多い
【設備の失敗原因】
コンセントの数を少なくして不便になったのは「実用性よりも見た目を優先したこと」が原因です。
テレビ、レコーダー、冷蔵庫、洗濯機、ウォーターサーバー、電子レンジ、電気ケトル、スマートフォン、パソコンなど、現代の私たちは多くの電気製品に囲まれて生活しています。つまり、想像よりも多くのコンセントが必要なケースも少なくありません。
コンセントが足りないと、延長コードのたこ足配線などでかえって見た目が悪くなり、本末転倒です。また掃除機を使う際に、適切な位置にコンセントがないと、不便で掃除がはかどらない恐れもあります。
【設備で失敗しないための対策】
コンセントで失敗しないためには「具体的にどのような家電があり、どの位置にいくつのコンセントが必要なのかを確認しておくこと」が対策となります。
コンセントを増やす場合にはオプション料金がかかるケースもありますが、必要と判断される場合にはコンセントを増やすことも検討しましょう。そのほうがストレスなく、快適に過ごすことができます。
■ 外構・外装
【外構・外装の失敗例】
大きな車に買い替えたいが、駐車スペースが狭くて迷っている
【外構・外装の失敗原因】
駐車スペースが狭いのは「将来を見据えた設計ができていなかったこと」が原因です。
具体的には将来子供が生まれたり、子供が増えて大きな車が必要となる可能性ほか、介護で車を利用するため広めの乗降スペースが必要になる、などの場合も考えられます。
【外構・外装で失敗しないための対策】
駐車スペースの設置で失敗しないためには「将来を見据えて駐車スペースの広さを決定すること」が対策となります。「将来子供が増えて車を買い換えるとして、最大でどれぐらいの大きさの車を買うか?」「将来介護で利用するとして、駐車+乗降でどのくらいのスペースを確保すべきか?」などをシミュレーションして具体的な広さを決定しましょう。
注文住宅で失敗・後悔しないためのポイント
注文住宅で失敗・後悔しないための最大のポイントは「可能な限り想定できる全てに対してシミュレーションしておくこと」です。すでにご紹介した失敗事例なども念頭に入れつつ、同じ失敗をしないような準備が必要でしょう。この他、全体の予算(トータルコスト)をシミュレーションすることも必要です。予算をオーバーしないためには、希望の詰め込みすぎ、理想の追求しすぎは避け、これから建てる家に何を特に求めるかの「優先順位」を明確にしなければなりません。
優先順位を明確にするためには、ご自分の中で考えを深めたり、ご家族とよく話し合って意見を合わせておくことが大切です。そして何よりも大事なのは、ご家族で決めた優先順位をよく理解し、建物に反映してくれる設計士に家づくりを依頼することです。会社選びの基準として、「頼りになる設計士がいるかどうか」も検討材料にしましょう。
最後に、注文住宅で失敗・後悔しないためのポイントとして「生活動線」「間取り」「デザイン性」の3点を簡潔にご紹介します。
- 生活動線
生活動線とは、家の中の移動ルートを指します。これが複雑な線を描いたり、何度も重なるようであれば、住み心地の良い家とは言えません。ご家族それぞれの生活パターンを考慮しつつ、特に、家事の負担とならないスムーズな生活動線を目指すと良いでしょう。
- 間取り
間取りは、生活動線と密接に関わっています。注文住宅では、良好な生活動線を実現する視点から間取りを決定すると良いでしょう。なお「日当たりの良い場所にはリビング・ダイニング、日当たりが悪い場所には水回り」など、間取りにはある程度セオリーがあるため、それらを元にすると間取りが決めやすいです。
- デザイン性
デザイン性は、実用性(機能性)と相反するケースも少なくありません。例えば、失敗事例でもご紹介した「吹き抜け」は、開放感のある空間を生み出す反面、エアコンが効きにくくなるなどの難点があります。デザイン性を重視する場合、そのデメリットをリカバーする方法についても併せて考慮するようにしましょう。
まとめ
注文住宅で失敗・後悔をしないためには、デザインのみならず、実用性(実際に住んだ時の快適さ)にも配慮した設計が必要です。そして、デザインと実用性を両立させるために、信頼できる設計士や、注文者に寄り添う工務店の存在が不可欠となります。
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