注文住宅の間取りで後悔する人は多い
新築注文住宅は間取りを自由に決められることが魅力ですが、住んでから住みにくさを感じて後悔する人が意外と多くいます。
間取りを失敗するのは、家族のライフスタイルに合った間取りになっていないことが主な要因です。間取りを考えるときには、家族それぞれの1日の家での動きを書き出して生活をシミュレーションして、部屋や水回り設備、収納、コンセントなどの配置を考えていきます。また、周辺の建物との位置関係や隣接する道路の人通り、日当たりなども考慮するべきポイントになります。
日頃の生活で不便に感じていることも踏まえながら、新しい家での生活をイメージしてみましょう。
新築注文住宅でよくある失敗とは
新築注文住宅よくある失敗は、次に挙げる点に関するものです。
- 収納
- 広さ
- 視線
- 動線
- 配線
- 室温、明るさ
- 音
収納に関しては、収納の使いにくさや収納量の失敗が起こりがちです。広さの失敗で多いのは、イメージしていた広さと実際の広さが違うというケース。外部からの視線や来客時などに内部での視線が気になると、落ち着いて過ごしにくくなります。動線の失敗で多いのは、各部屋や水回り設備の配置の問題から暮らしにくいといったケースです。配線の失敗は、コンセントの位置や数によるものです。室温や明るさの失敗は、窓の大きさや位置、照明の色などによって起こります。音の失敗は、外部から音、あるいは家の中の音の伝わり方の問題から、音が気になることによってストレスを感じるケースです。
【失敗例】収納
収納に関する失敗で多いのは、収納が使いにくい、しまいたいモノが収納できないといったケースです。
・キッチンの吊り戸が高すぎて届かない。
・パントリーの奥行が深すぎて、奥のモノが取りにくい。
・コート掛けを玄関につくらなかったため、リビングにコートなどが置きっぱなしになっている。
・ウォークインクローゼットを設けたもののあまり使われず、リビングや洗面所などに細かく収納を用意しておくべきだった。
<収納の失敗を防ぐための対策>
・モノを使う場所の近くに収納を設ける。
・収納したいモノのサイズに、収納スペースの幅や奥行、高さを合わせる
・頻繁に使うモノは出し入れしやすい高さの収納を計画する。
収納で失敗しないためには、どこに何をしまうのかを踏まえて、収納計画を立てることが大切です。
【失敗例】広さ
広さに関する失敗は、家具を置くと狭くて使いにくく感じるなど、イメージしていた広さと実際の広さに違いがあるケースです。
・家具を配置したら、意外とリビングが狭く見えた。
・リビングの広さを確保するために玄関を狭くした結果、圧迫感がある。
・バルコニー・テラスの幅が中途半端で使いにくい。
<広さの失敗を防ぐための対策>
・モデルハウスなどで「○畳」という広さがどの程度なのか、体感しておく。
※モデルハウスが広いと思った場合は、自身が購入しようとしている家のサイズに近いお家の見学会やOB邸訪問で体感しておくと、一層実感がわきます!
・打ち合わせ段階で、図面に置きたい家具を書き込んで、周囲にゆとりがあるか確認する。
・バルコニー・テラスは利用目的に合った広さを確保する。
広さは間取り図を見ただけではわかりにくいものですので、モデルハウスで広さを体感したり、図面に家具を書き入れたりして、広さをイメージできるようにしましょう。
【失敗例】視線
視線に関する失敗は、外部や内部からの視線が気になって、落ち着かないといったケースが該当します。
・玄関が通りに面するため、他人の視線が気になる。
・玄関から、洗面脱衣室への出入りが見える。
・リビングの窓が大き過ぎて、外部からの視線が気になって落ち着かない。
・2階の子ども部屋の窓が隣の家のトイレの窓の位置と向かい合わせのため、視線が気になる。
<視線の失敗を防ぐための対策>
・道路沿いに窓を設けたときに、外部からの視線が気にならないか、敷地周辺を歩いてみる。
・打ち合わせ段階で、図面に隣の家の窓の位置を書き込んで、向かい合わせにならないか確認する。
・玄関ドアを開けたときに視線が気になる箇所がないか、図面をチェックする。
外部などからの視線が気になるとくつろいで過ごしにくいですが、カーテンを閉めっぱなしにすると閉塞感があります。図面や敷地周辺の状況から、視線が気になる箇所がないかチェックするようにしましょう。
【失敗例】動線
動線に関する失敗とは、各部屋や水回り設備の配置の問題から、暮らしにくさを感じるケースです。
・リビングを通過した先に手洗い場を設置したため、帰宅してすぐに手洗いできない。
・浴室を2階に設けたため、子どもが泥遊びをして帰ってきたときに、広い範囲が汚れてしまい大変。
・リビングに階段を設けたため、子どもの友達が遊びに来たときに、リビングを通って2階の子ども部屋に行くことになり、散らかっていると困る。
・玄関からキッチン・パントリーまでが遠く、重いものを運ぶのが大変。
<動線の失敗を防ぐための対策>
・打ち合わせ段階で、図面に家族が起きてから寝るまでの生活動線を書き込んで、不便なところがないか確認する。
・車で買い物に行くことが多い場合は、駐車場からの動線も考慮する。
動線による失敗から、住んでみてから暮らしにくさを感じることがないように、図面に生活動線を書き込んでチェックしましょう。
【失敗例】配線
配線に関する失敗は、コンセントが足りない、コンセントの位置が不便といったケースです。コンセントが足りずにタコ足配線にしてしまうと、コンセントごとに決められた定格電流を超えて発火するリスクがあります。また、延長コードを使用すると、美観が損なわれることも難点です。
・リビングのコンセントを壁の端に設置したため、ケーブルが長くないと届かない。
・コンセントの前に家具を置いたことで、コンセントが使えない。
・洗面所のコンセントの数が足りない。
・掃除機をかけるときのコンセントを想定していなかったため、廊下などの掃除のときに不便。
<動線の失敗を防ぐための対策>
・季節家電を含め、使用する家電をリストアップしておく。
・図面に家具や家電を書き込み、必要な場所にコンセントを設ける。
コンセントは間取りがほぼ確定した段階で決めていきます。使う家電をリストアップして、必要な場所に必要な数のコンセントを設けるようにします。
【失敗例】室温・明るさ
室温・明るさの失敗は、窓の位置や大きさから、暗い、あるいはまぶしいという明るさの問題や、外気の影響を受けやすく、夏は暑く、冬は寒いという室温の問題が生じるケースが挙げられます。また、照明の色は部屋の用途に合ったタイプのものを選んでいないと、過ごしにくさを感じることがあります。
・寝室に昼白色のダウンライトを設置したが寝付きが悪く、電球色にすればよかった。
・大きな窓のある吹き抜けを設けたところ、光がまぶしく、夏は暑く、冬は寒いため、エアコンが効きにくい。
・西側の高い位置に窓をつけたため、西日が差し込むとまぶしく、夏は暑い。
・玄関に窓を設けなかったため、日中でも暗い。
<室温・明るさの失敗を防ぐための対策>
・季節や時間、方角による光の入り方を踏まえて、窓の位置や大きさを計画する。
・大きな窓を設置するときは、断熱性能の高いサッシやガラスを用いる。
・照明の色は電球色・昼白色・昼光色から、部屋の用途に合ったものを選ぶ。
窓は東西南北で光の入り方が異なります。また、大きな窓を設けると光を取り込めますが、冷暖房効率が悪くなるため、断熱の面での対策が必要です。
【失敗例】音
音の失敗は、外部からあるいは家の中の音の伝わり方の問題から、生活するうえで音が気になってストレスになっているケースです。
・2階建ての二世帯住宅にしたが、上階の音に対して間取り上の対策や遮音対策ができていなかった。
・リビングに吹き抜けを設けたところ、来客時に家中に声が響きわたる。
・道路側に寝室があり、車の通る音で夜眠れない。
・玄関の近くに寝室を設けたところ、深夜に帰宅する家族がいるため、目覚めてしまう。
<音の失敗を防ぐための対策>
・打ち合わせの段階で、各階の図面を重ねてみて、音の発生する箇所の真下の場所に配置されている部屋を確認する。
・車の交通量や人通りの多い道路の横に、寝室や子ども部屋を配置しない。
・玄関やキッチン、浴室、トイレといった人の出入りや排水音などが気になる場所に隣接して、寝室や子ども部屋を配置しない。
・2階以上のフロアには遮音性能の高い床材を使用する。
音が気になるとストレスになりやすいため、音の発生する場所に対して間取りの配慮をすることが大切です。
【坪数別】新築注文住宅の間取り成功例
実際にどのような間取りにすると住みやすいのか、イムラの新築注文住宅の成功事例を延床面積の坪数別に紹介していきます。
- 40~50坪
- 30~40坪
- 20~30坪
新築注文住宅は広さによって、実現できる間取りが異なります。建てたい住宅の広さに近い間取りを参考にしてください。
坪数40~50坪の成功例
延床面積が坪数40~50坪という広さは一般的な住宅よりも広めです。延床面積49.6坪の2階建てのこちらの事例は、夫婦2人の住まいです。
将来に備えて平屋的な感覚で1階だけで生活できる間取りで、廊下の幅にはゆとりがあります。和室は玄関に面した廊下からも、LDKからも出入りが可能で一体化して使用することもできます。玄関には土間収納を設けることで、来客時に玄関が片付いた状態となるように配慮されています。また2階部分は子どもたちが孫を連れて帰省できるスペースとしても使うことを意図しています。
オーナー様がこだわった点は、「1階だけで生活できる便宜性」のほか、「キッチンを中心とする開放的なリビング」や「畳のある落ち着いたお部屋」。明るく開放感のあるゆとりのある住まいが実現しました。
<住宅概要>
敷地面積:240.1平米(72.6坪)
間取り:5LDK
延床面積:163.81平米(49.6坪)
家族構成:夫婦
種類:単世帯
竣工年月:2020年12月
坪数30~40坪の成功例
延床面積が坪数30~40坪は一般的な広さの住宅です。こちらの事例は延床面積39坪の2階建てで、夫婦と子ども3人の住まいです。
1階に土間収納と収納を備えた着替え室が設けられ、家族共有の大容量の収納スペースを確保しているのが特徴。着替え室と洗面脱衣室の動線もスムーズです。また、約25帖のLDKがあり、家族でゆったりと過ごせるスペースも確保されています。
2階は寝室や子ども部屋があるプライベートスペース。子ども室は独立した1部屋のほか、将来2部屋に仕切れるように作られた広い子ども部屋が設けられています。
オーナー様によると、「収納と靴棚(たくさん作って今は、友達にお店屋さんと言われるくらいキレイに選べられました)どれだけあっても困りません。家事動線、本当に動きやすいです。洗面所も近いので、冬もリビングの横なので、寒くなく快適です」とのこと。
収納力がたっぷりで動線にも配慮された、家族が暮らしやすい間取りの住まいとなりました。
<住宅概要>
敷地面積:221.23平米(66.9坪)
間取り:4LDK
延床面積:128.95平米(39坪)
家族構成:夫婦+子ども3人
種類:単世帯
竣工年月:2019年6月
坪数20~30坪の成功例
延床面積が坪数20~30坪という広さは、一般的な住宅よりもやや小さめです。こちらの事例は延床面積30.9坪の平屋で、夫婦と子ども1人の住まいです。
キッチンの周りを回遊できる間取りで、キッチンの横にダイニングスペース、キッチンの前がリビングスペースとなっているため、家事をしながらお子様を見守りやすいです。また、洗面脱衣室は玄関やキッチンからアクセスしやすく、勝手口があるため、外干しスペースに直接行くことができます。
オーナー様がこだわったのは「間取り(土地の活かし方や動線)」で、「設計の初期が一番悩むことが多かったですが、設計士さんと案を揉む中でこちらの漠然とした考えも徐々に形になり、結果とても気持ちよく暮らせる家になりました」とのこと。
生活動線に配慮された暮らしやすい住まいが実現しました。
<住宅概要>
敷地面積:267.36平米(80.9坪)
間取り:3LDK
延床面積:102.27平米(30.9坪)
家族構成:夫婦+子ども1人
種類:単世帯
竣工年月:2020年7月
間取りを決めるポイント
新築注文住宅で間取りを決める際には、次に挙げる点がポイントとなります。
- 家族の希望と生活動線
すべての希望を叶えた間取りにするのは難しいため、家族の希望を取りまとめて、優先順位をつけることが大切。また、実際に住むことをイメージして、生活をシミュレーションして動線を考えていきます。イメージしにくい場合はモデルハウスを見学しましょう。
- 周辺の環境
土地が面する道路や方角は、外部からの視線や音、日当たりなどの問題に直結するため、周辺環境を確認しておきます。また、工務店のスタッフとの打ち合わせでは、建蔽率や容積率、接道といった専門用語が出てくるため、わからない用語があればそのままにせず質問しましょう。
- 日常生活をイメージしたゾーニング
ゾーニングとは用途や機能ごとに分類すること。まず、土地にどのように建物を配置して、庭やカーポートをどの部分に設けるのか、土地をゾーニングします。次に住居部分はキッチンや洗面脱衣室などのサービスゾーン、リビングやダイニングなどのパブリックゾーン、各自の居室のプライベートゾーンに分けて、部屋と部屋のつながりを意識して間取りを考えます。
- 家族が増えることによる将来像をイメージ
間取りは将来的なことを見据えて考えていくことが大切です。特に単身者は将来、家族を持つ可能性を踏まえて、可変性のある間取りとしましょう。
間取りを決める際には周辺環境を確認し、生活をイメージしたうえで、将来のことも見据えていくことが大切です。
迷ったら信頼できる工務店に相談する
新築注文住宅の依頼先や間取りで迷ったら、信頼できる工務店に相談するのがおすすめです。家族構成やライフスタイルによって向いている間取りは異なり、住宅は長い間住むものです。なんとなく流行りの間取りやデザインに決めてしまうと、後悔することが考えられます。
家づくりの経験が豊富な工務店に相談すると、よくありがちな間取りの失敗例を教えてくれたり、家族に合った間取りの提案を受けられたりするなどのメリットがあります。
新築注文住宅の間取りに悩んだら、信頼できる工務店に相談してみましょう。
まとめ
新築注文住宅の間取りで失敗するケースは、新居での生活をイメージできず、家族のライフスタイルに合っていないことが主な要因です。新築注文住宅を建てて実際に生活してから、「失敗した」という事態に陥らないためには、土地の周辺環境や家族それぞれの家での生活を踏まえて、生活をシミュレーションして間取りを考えることが大切です。
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*間取りが見られる施工事例は《 こちら 》