住宅ローンとは
住宅ローンとは、居住を目的として戸建てやマンションを購入する際に利用することができるローンのことを指します。基本的に家を購入する際は一括で払うことの方が少なく、多くの方が住宅ローンを組んでマイホームを購入します。
また、住宅ローンは長期的な返済になるため、少しでも返済総額が少ない条件の方が良いので、マイホーム購入時だけでなく返済途中で借り換えをするときにも利用したりします。
*住宅ローンを組む条件は金融機関や商品によってさまざまなので、なるべく多くの商品と比較することが大切です。
住宅ローンの融資元は大きく分けて以下の3つです。
- 公的融資:住宅金融支援機構の財形住宅融資や自治体融資など
- 民間融資:銀行や信用金庫など民間金融機関が提供するローン
- フラット35:民間金融機関などが住宅金融支援機構と提携して提供するローン
これら3つの融資元が提供する商品には『固定金利型・変動金利型・固定金利期間選択型』の3種類があるので、実際に各融資元の返済プランを確認して、なるべく無駄な返済をしないで済むような自身の返済プランとあった商品を選びましょう。
住宅ローンにおける借入可能額
借入可能額はローンを組む際に借りることができる上限金額のことを指しており、融資元の審査によってその金額は決められます。一般的に借入可能額は世帯年収をもとに審査を行うので、共働き夫婦の場合は夫婦のそれぞれの年収を合わせた金額をもとに算出されます。
つまり、理想とする家を建てるのに5000万円かかるとして、借入希望額を5000万円で融資元に依頼したとしても、年収によっては4000万円と審査されてしまう場合があるのです。なので、事前に自身の家庭の借入可能額を調べてから建てる家の予算を決めた方がスムーズに施工会社とも契約が進みます。
■年収別:住宅ローン借入可能額早見表
住宅ローンの借入可能額を知ることで自身の返済計画を明確にすることができるだけでなく、無理のない返済プランを立てられるようになり住宅購入時の満足度を高めることができます。もちろん、年齢や年収、お金の価値観によって満足度は大きく変わるので、まずは目安として自身の家庭でどのくらいローンを組めるのか把握して理想とする返済プランを組むようにしましょう。
【年収別の借入可能額目安】*条件=返済期間35年・金利1%・ボーナス返済なし・元利均等
年収 | 返済負担率25% | 返済負担率30% | 返済負担率35% |
300万円 | 2200万円 | 2650万円 | 3100万円 |
500万円 | 3690万円 | 4430万円 | 5150万円 |
800万円 | 5900万円 | 7090万円 | 8260万円 |
1000万円 | 7380万円 | 8860万円 | 1億330万円 |
■ 住宅ローン借入可能額の計算方法
住宅ローンの借入可能額は自分で計算することもできます。金融機関によって審査方法は違いますが、一般的には以下の計算式で借入可能額を求めることが可能とされています。
【借入可能額の計算式】
『年間返済可能額÷12カ月÷審査金利での100万円あたりの返済月額×100万円』
まず、年間返済可能額は返済負担率から算出します。『額面年収×30〜35%』で計算が可能ですが、他のローン(自動車ローンなど)も組んでいて毎月の住宅ローンの負担を減らしたい場合はもう少し割合を落として計算しましょう。
次いで、審査金利とは金融機関が計算上用いる金利のことを指しており、一般的な3.0~3.4%を審査金利として計算します。
【計算例】
『年収800万円、返済期間35年、年間返済希望割合35%、審査金利3%』の場合。
800万円×35%÷12÷3849円×100万円=約6062万円
以上のように計算ができます。また、Web上には無料で計算ができる借入可能額シミュレーションもあったりするので必要に応じて活用してください。
住宅ローン返済額の目安とは?基礎知識と返済の考え方を解説|便利なシミュレーターも紹介
住宅ローンにおける借入額の目安
住宅ローンにおける借入額の目安は年収の5倍以内とされています。実際、借入可能額の上限いっぱいに使ってローンを組む人は少なく、無理のない返済計画を立ててローンを組む方がほとんどです。なので、借入額の目安を把握して余裕のある返済計画を立てた上でローンを組んで、満足度の高い住宅の購入を目指すことが大切と言えるでしょう。
ちなみに年収の5倍以内で目安を算出した場合、35年の住宅ローンで組んだ時に年間の返済額が年収の30〜35%となるので無理のない返済計画になります。もし30%の返済負担が大きいと感じる場合は、年収の4倍程度で計算して30%以内に抑えるのも一つの方法です。
住宅ローン借入の際の注意点
住宅ローンは毎月分割で払うとはいえ総額にすると大きな金額です。だからこそ、ローンを組んで後々に返済で困らないためにも注意点やローンの詳細を把握して、慎重に商品や借入額を決めなくてはいけません。
以下は住宅ローンを組む際に注意しておくべきポイント2つです。
- 現実的に支払いできる金額を借入れる
- 返済リスクについて理解しておく
住宅ローンを組むときは基本的に融資元へ出向き商品案内を受けて理想的な商品を選びますが、必ずしも融資元が利用者目線で商品の提案をしてくれるとは限りません。間違ったことは言ってなくても、リスクに関する部分は伝えないといったことも無いとは言い切れません。
ですので、融資元の専門家が言った通りのことを鵜呑みにせず、ある程度の注意点は把握して商品の良し悪しを判断できるようにしておきましょう。
■ 現実的に支払いできる金額を借入れる
現実的に支払いができる金額を借り入れるようにしましょう。借入可能額が5000万円だとして、目一杯の5000万円を借りてしまったら返済が厳しくなり後から苦労する可能性が高くなります。
あくまでも借入可能額は年収に対してどれだけ借りられるかという金額でしかなく、借入額の理想というわけではありません。また、住宅ローンを組む時は他にローンを組んでいなかったとしても、将来的に自動車ローンや教育ローンなど複数のローンを組む可能性もあるので、余裕のある返済計画を組んでおく必要があります。
つまり住宅ローンを組む当初は余裕があっても、将来的にお子様の誕生や習い事などでの出費が増える可能性も十分に考えられるので、それらを念頭に置いて住宅ローンは組まなくてはいけないのです。
■ 返済リスクについて理解しておく
住宅ローンは何十年という期間をかけて返済していくパターンが一般的なので、その何十年の間にどういったお金の動きがあるのか予測しておく必要があります。
考えられるお金の動きとしては以下のようなものが考えられます。
- 自動車ローン
- 教育費
- 出産
- 入院費
- 収入の低下
どれも確実に発生するものではありませんが、起こりうる可能性のあるものとして予測しておけば本当に発生した場合にお金を工面することができます。なので、多少余裕のある返済計画を組むことを意識しつつ貯蓄に回すなどして、生活予備資金を確保することも検討しましょう。
生活予備資金があれば急な収入減少に対しても柔軟に対応ができますし、住宅ローンが支払えなくなって家を売却するような最悪の事態を避けることができます。
住宅ローンの借入額を決める際のポイント
住宅ローンの借入額は年収の5倍以内に抑えておくことで、余裕のある返済計画を組むことができるとされていますが、実際のところその計算だけでは借りる側の状況などが試算されていないので現実味のある借入額が出てきません。そこで、以下では年収による判断だけでなくその他にも意識した方が良いポイントを交えて借入額について解説します。
借入額を決める際に意識すべきポイントは以下の通りです。
- 返済負担率を考慮する
- 完済時の年齢も考慮する
- 返済プランを立てる
何歳からローンを組むのか、どういった返済プランを理想とするのかを意識することで、年収5倍以内という漠然とした数字ではなく、細かくて現実的な借入額を決めることができるようになります。
■ 返済負担率を考慮する
返済負担率とは年収における年間の返済額の割合のことを指します。返済負担率が低ければ安定して返済を続けることができますが、逆に高いと想定外の出費に耐えられなくなることもあるので安定して返済ができなくなる可能性が高いです。
また、返済負担率は住宅ローンを組む際の審査対象としてもみられます。なので、返済負担率が高い設定で審査を組むことになると融資元は『安定した返済能力がない』とみなす場合もあり、各融資元が定める一定の基準を超えると審査で落とされてしまう場合もあります。
住宅ローンの申請をするときは、安定した返済ができる返済負担率25%〜35%を意識して申請をしましょう。
■ 完済時の年齢も考慮する
完済時の年齢も借入額を決める際には重要なポイントの一つです。もしローンの完済が定年後の場合、定年後の返済プランが明確になっていないと完済しきれない可能性が高くなります。
安定した収入を定年後も得られる保証があれば問題ありませんが、そうでない場合はその点も含めて貯蓄額の計画なども合わせて立てることが必要となるでしょう。なので、住宅ローンを組む時は完済時期を意識して借入額を決めることで、将来の不安要素を最小限にすることができます。
■ 返済プランを立てる
返済負担率と完済時期の目安が決まったら返済プランを立てましょう。融資元で返済プランを立ててもらうのも良いですが、その場合だと返済リスクを加味したプランが出されないので、何かあった時に返済が順調にできなくなる可能性が高まります。
例えば、『30歳 子ども1人(1歳)』という状況で住宅ローンを組むことになった場合、これからどんなことが起こる可能性があるのか考えます。『2人目の誕生』『子どもの進学』『給与の急な減額』『病気による入院』などのように、いきなりお金が流れていくことが予測できるので、それらを加味して無理のない返済プランを立てましょう。そうすることで貯金などに回す余裕がある返済プランを組めるので、将来的に何かあった際に柔軟な対処ができます。
まとめ
住宅ローンはマイホームを購入する時や、すでに組んでいる住宅ローンの借り換えをする際に利用するローンです。また、住宅ローンを組むときは自身の借入可能額を把握して、年収の5倍以内に借入額を設定するのが理想とされています。そうすれば、年間給与の約30%を支払いに回す計算になるので無理のない返済プランが組めます。
また、返済プランを組み立てるときは『返済負担率・完済時の年齢・予測できる将来の出費』を加味した上で組むことで、リスクを最小限に抑えた現実的な返済プランを組むことが可能です。
なお、こちらの記事に記載のある価格は税別の参考価格となります。
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