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資金援助を受けて家を建てる際のポイント|非課税制度や申請方法を紹介

マイホームの購入は人生でそう何度もあることではありません。その理由として、多額な費用がかかることと、それに対するローンの期間が長期にわたることが挙げられます。だからこそ、マイホームの購入における費用についてはしっかり情報を把握しておく必要がありますし、資金の調達などについても着実な検討を繰り返すことが重要です。

 

当記事では、資金援助を受けて家を建てるにはどのようなものがあるのか、どのような手続きが必要になってくるのかを解説します。計画的かつ安定した支払いを進めるためにも、ぜひ参考にしてください。

 

※本記事は2021年12月末時点の制度に伴っています


資金援助を受けて家を建てるには



家を建てるには多額な金額がかかりますが、自己資金のみで家を建てられる人はごく少数で、ほとんどの人が住宅ローンや親からの資金贈与などの支援を受けています。とくに、注文住宅の場合は自由度が高くなるため、価格も大きくなって自分たちの資金のみでは賄うことができず、支援を受けて建築するという人は多い傾向にあります。国税庁の調べでは、令和元年には約48万8,000人が資金贈与を受けて住宅の取得をしたというデータも存在するほど多くの人が資金援助のもと、家を建てているのです。

 

また、ローンを組むことで大きな出費を避けたり、親からの資金援助をしてもらったりなど、使える資金が増えることでより良い住まいを購入することができます。なので、自身が受けられる資金援助の種類を把握しておけば、より満足度の高い家を建てることが実現します。


■ 住宅ローンを利用する


家を建てるのにかかる多額の費用をすべて自己資金で賄うことは難しく、住宅ローンを利用する人がほとんどです。しかし、住宅ローンを利用するには自己負担可能額やいくら借りられるか、どこから何年借りるかなど、考えなくてはいけないことがたくさんあるので、多くの情報を集める必要があります。

 

住宅ローンには自治体などによる公的融資と、銀行など民間金融機関によるものの2種類があり、ローンを組むための条件や資格、借り入れの限度額、金利などもそれぞれ異なってきます。また、共働きの夫婦で住宅ローンを利用する場合、夫婦の共有名義で登記しておくと収入にもよりますが、住宅ローン控除をそれぞれで受けることができるのでおすすめです。


■ 親から資金援助を受ける


自分たちの子どもに『本当にお金が必要になった時』のために子ども達に資金を用意していて、家を建てる際にその資金を渡す親は多いと言われています。親などから資金援助を受ければ自己負担を減らしたり、ローンを組む場合も援助の分だけ借入額を減らすことができたりして、より良い家づくりへと繋がります。

 

しかし、親族である親子間でもらうお金でも、贈与税の納税が必要になってくる場合もあるので注意が必要です。


贈与税とは



贈与税とは、個人から現金や資産を受け取った時にかかる税金のことで、その個人が家族であっても贈与税の対象になります。年間110万円までは非課税とされているので、贈与税額の計算は『(1年間に受けた贈与額-110万円)×税率−控除額』で算出できます。贈与された額にもよりますが税率は10%~55%と非常に高額です。

 

家を建てるときに親や祖父母から受ける資金援助は非課税対象の110万円以上であることも多いので、『親子間でお金をもらうだけ』と安易な考えで受け取らず、贈与税が発生するということを覚えておいてください。


親から資金援助を受ける方法



親や祖父母から資金援助を受ける場合は、贈与税がかかるなど容易く渡せない場合もあります。なので、贈与税がかかるケースごとに、どういった方法を取るべきか確認しておきましょう。以下は親や祖父母から資金援助を受け、贈与税がかかってしまうケースです。

 

  • 110万円以上の現金をもらう場合

非課税対象の110万円を超えているので贈与税がかかります。ただし、特例を利用すれば一定限度まで非課税の対象になります。

 

  • 一時的に110万円以上の現金を借りる場合

親族から無利息で借りる場合や、借用書を書かずに借りた場合、催促なしで借りた場合は、贈与とみなされ贈与税がかかる可能性があります。

 

  • 共有名義で購入し、自身の負担割合より多い持分登記をした場合

家を共有の名義で購入したとき、自分が支払った負担割合より多い持分割合で登記してしまうと、その分の贈与があったとみなされ贈与税がかかります。


資金援助を受ける際に利用できる制度



親族から110万円以上の資金援助を受けると贈与税がかかってしまいますが、それに対して利用できる制度というものもあります。以下で紹介する制度の条件を満たして利用できれば、110万円以上の資金援助でも贈与税が少し緩和されることがあります。

 

  • 暦年課税制度
  • 住宅資金贈与特例
  • 相続時精算課税制度

 

以下で解説する条件が自身に当てはまるかを確認して、利用できる制度はなるべく利用していくようにしましょう。


■ 暦年課税制度


暦年課税制度とは、個人から贈与してもらう額が年間110万円以下なら贈与税がかからないという制度で、3つの制度の中で唯一税金を支払う必要のない制度です。その年の1月から12月までに受け取った贈与が対象になり、110万円以下の贈与では申告は不要です。親や親族などでなくても受け取ったり渡したりすることができます。

 

しかし、贈与額が110万円を超えたら申告が必要になり、受け取った側の人が贈与税を払う必要が出てくるので、110万円という数字はしっかり覚えておきましょう。また、税率は贈与額が大きくなるほど上がります。


■ 住宅資金贈与特例


家を建てる際に親や親族から資金を贈与してもらう額は非課税対象の110万円を超えるケースも多く、その場合には『住宅取得等資金贈与の非課税の特例』の制度を利用すると非課税の対象額を一定限度まで上げることができます。

 

贈与額が110万円以上なら最初に活用する制度ですが、利用条件や申請方法などが少し複雑になってきますので、以下の利用条件と申請方法の解説をよくチェックしてください。


 利用条件


住宅資金贈与特例の制度を利用できる人にはいくつかの条件があります。細かい条件が他にもあったり、一部で例外があったりしますが、下記では利用できる人の基本的な条件をまとめています。

 

【住宅資金贈与特例の利用条件】

  • 直系尊属(実の親または祖父母)からの贈与である

※条件を満たせば養親も可能な場合がある

  • 贈与を受けた年の1月1日の時点で20歳以上(2022年4月以降は18歳以上)
  • 年間の合計取得が2,000万円以下である(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は、1,000万円以下)
  • 2009年から2014年の間に同じ制度を利用していない

 

この制度の条件は利用者だけでなく、贈与してもらい援助を受けて購入する家にもいくつか条件があります。新築の場合や中古の場合、リフォームの場合などと家の種類によって条件も異なってくるので、自身が購入する家の条件が合っているかは必ず確認してみてください。


 限度額


住宅資金贈与特例の制度を利用することで、最大で3,000万円までの贈与額が非課税の対象になるので、多額の贈与を受ける際にはぜひとも利用したい制度になります。非課税限度額は購入した住宅の種類や消費税率などによって変動しますが、家の契約の締結日によっての変動が一番大きいとされています。

 

家の契約締結日 省エネ住宅等 省エネ住宅等以外の住宅
平成31年4月1日~令和2年3月31日 3,000万円 2,500万円
令和2年4月1日~令和3年12月31日 1,500万円 1,000万円

 

表の通り、いつでも利用できる制度ではなく契約の締結日によって変動します。これは毎年、景気や政治の情勢により限度額や制度の延長などがされるため、必ず制度の最新の状況を確認してください。


 申請方法


住宅資金贈与特例の制度を受けるためには、基本的な暦年課税制度とは違い、たとえ特例を使ったがために贈与税が0円になったとしても必ず申請をしなければなりません。申請方法は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に贈与税の申告書を提出します。申告書には非課税の特例の制度を使用する旨を記載し、下記の書面を添付します。

 

  • 戸籍謄本
  • 源泉徴収票など
  • 家の登記事項証明書
  • 売買契約書や建築請負契約書の写し


■ 相続時精算課税制度


家を建てるときに資金援助してもらう親や祖父母が60歳以上で、非課税対象の110万円以上ならば、相続時精算課税制度を利用することができます。この制度は、最大で2,500万円までは生前贈与として非課税で贈与を受けられるというもので、もし贈与した人が亡くなった際の相続財産に、相続時精算課税制度を利用して贈与した分も合わせて相続税を課税するという制度です。

 

また、この制度は一度選択すると撤回は不可能で利用後は暦年課税制度が使えなくなったり、住宅資金贈与特例と併用が可能ですが相続税の非課税にはならないので最終的には免除された額が相続財産として計算されてしまったりするなど、注意も必要です。


 利用条件


相続時精算課税制度を利用するには以下のような条件があります。

 

【相続時精算課税制度の利用条件】

  • 贈与する人は贈与の年の1月1日時点で60歳以上の直系尊属(実の親、祖父母)である
  • 贈与される人は贈与の年の1月1日時点で20歳以上(2022年4月以降は18歳以上)直系卑属(実の子、孫)である
  • 贈与されるときに日本国内に住所がある

※受贈者が外国居住でも、条件を満たせば可能な場合がある

 

住宅資金贈与特例に比べると複雑な条件は少ないですが、相続時精算課税制度は一度選択すると撤回が出来なくなるので、後から暦年課税制度にすることは不可能なので十分考慮が必要です。


 申請方法


相続時精算課税制度を利用するためにも申請が必要になります。贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までの間に「贈与税の申告書」と「相続時精算課税選択届出書」の2種類を税務署に届けます。また、相続時精算課税選択届出書には以下の書類を添付する必要があります。

 

  • 贈与される人の氏名、生年月日、実の子(孫)であることが分かる戸籍謄本または戸籍抄本
  • 贈与される人が20歳(2022年4月以降は18歳以上)になった以降の住所が分かる戸籍の附票
  • 贈与する人の氏名、生年月日、60歳になった時以降の住所が分かる住民票または戸籍の附表

 

申請期間を過ぎてしまうと適用されなくなってしまうので注意してください。


まとめ


2021年12月時点での親や親族から資金援助を受けて家を建てる際の方法や制度を紹介しました。家を建てることは一生の内での大きな買い物の一つになるので、資金援助がある場合は制度などを使って有効に使っていきたいので、必ず細かく確認しましょう。

 

金額によっては税金がかかってくることがありますが、制度を上手く利用しながら、今後自身に合うような選択を第一に考えて利用することが大切です。少しでも良い家を購入するために、適切な情報を仕入れ正しい資金の入手経路を利用して、満足度の高い家を購入しましょう。

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