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【2022年】住宅ローン金利は今後どうなる?金利上昇の仕組みとは

注文住宅を建てる際には多くの場合、自己資金(頭金)と住宅ローンによる借り入れを併用します。住宅ローンの総返済額は、住宅ローン金利の動向に大きく左右されることが特徴です。そのため、注文住宅を建てようと思っているものの、「住宅ローン金利は今後どうなるのか」と悩んでいる人もいるのではないでしょうか。

当記事では、住宅ローン金利が今後どうなるのか、その動向を分かりやすく解説します。家づくりを考えている場合は、住宅ローン金利の仕組みと金利上昇時の対応についても把握しておきましょう。

1.2022年の住宅ローン金利は今後どうなる?

金融機関の住宅ローン金利はマイナス金利政策の影響も受け、2009年から2021年までの20年以上、過去最低水準で推移しました。

出典住宅金融支援機構「民間金融機関の住宅ローン金利推移(変動金利等)」

では、2022年以降の住宅ローン金利はすぐに上がるでしょうか。

  • 変動金利
    変動金利タイプの住宅ローン金利は、2022年以降もしばらく上がらない可能性が高いと言えます。変動金利の重要な決定要素は、政策金利です。現状では政策金利が近々引き上げられる事態は考えにくく、変動金利タイプの住宅ローン金利も横ばいと予想されます。
  • 固定金利
    2022年2~3月には、大手銀行をはじめとする多くの金融機関が固定金利タイプの住宅ローン金利の引き上げを発表しました。固定金利はアメリカの深刻なインフレや長期金利上昇の影響を受け、2022年以降は多少上がる可能性が高いでしょう。

2.住宅ローン金利が上がる仕組み

住宅ローン市場の今後を正しく把握するためには、まず住宅ローン金利が上がる仕組みを理解する必要があります。住宅ローン金利が上がる仕組みを変動金利タイプ・固定金利タイプ別に把握し、どちらが自分に合うかを判断する際のヒントを得ましょう。

ここからは、変動金利と固定金利に分けて、金利が上がる仕組みを分かりやすく説明します。

2-1.変動金利の場合

変動金利とは、返済中に適用される住宅ローン金利が適時見直しされるタイプです。変動金利タイプの住宅ローン金利は多くの場合、政策金利が引き上げられると上がります。政策金利とは、日銀(日本銀行)が金融政策上の目標を実現するために設定する金利のことです。一般的に日銀は景気回復して物価が安定・上昇すると、政策金利を引き上げます。

日銀は2013年、物価の安定を図る指標として「消費者物価指数の前年比2%上昇」を目標に掲げました。しかし、2022年2月時点において目標達成にはほど遠い状況です。

出典日本銀行「2%の『物価安定の目標』と『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』」

出典総務省統計局「2020年基準消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)2月分 (2022年3月18日公表)

そのため、政策金利が近々引き上げられるとは考えにくく、変動金利タイプの住宅ローン金利もすぐには上がらない可能性が高いでしょう。

また、金融機関ごとの「引き下げ幅(金利優遇幅)」が縮小されることも、変動金利タイプの住宅ローン金利が上がる要因です。引き下げ幅とは住宅ローンを借りる際、個別に設定される優遇金利のことを指します。現在はネット銀行・大手銀行・地方銀行のすべてにおいて顧客獲得競争が激化しており、特定の金融機関が引き下げ幅を縮小するのが難しい状況です。そのため、顧客獲得競争が落ち着くまでは一定の引き下げ幅が維持される可能性は高く、変動金利タイプの住宅ローン金利に対する影響を気にする必要性は低いでしょう。

しかし、ローンの返済期間の間、全く金利が上昇しないような想定に立つのは誤りです。住宅ローンは20年・30年と長期に渡り返済していきます。そのような長期間、景気・金利の動向を全て予測できる人はいません。ある程度金利の変動はあるものと理解し、金利が上昇したとしても、返済がなりたつかどうかは念のため確認しておきましょう。

2-2.固定金利の場合

固定金利とは、住宅ローンを返済している全期間もしくは設定した期間において、契約当初に約束した利率の金利を支払うタイプです。固定金利タイプの住宅ローンは、全期間固定型・固定金利選択型に分類できます。

全期間固定型 住宅ローンの返済開始から終了までの全期間、当初約束した利率の金利を支払うタイプ
固定金利選択型 契約時に設定した期間のみ、当初約束した利率の金利を支払うタイプ

10年物国債の利回りなどの長期金利が上昇すると、固定金利タイプの住宅ローン金利も上がるのが通常です。長期金利は2021年7月頃から上昇しており、2022年4月14日時点では0.237%と、6年ぶりの高水準を記録しました。

出典財務省「国債金利情報」

日銀は長期金利の誘導目標を−0.25〜0.25%に定めているため、上限までは長期金利が上昇するかもしれません。今後の物価や不動産価格の変動を見た日銀の判断によって誘導目標の上限が緩和もしくは撤廃されると、0.25%超まで上昇するリスクもあります。

また、世界経済の中心であるアメリカにおいてインフレと金利上昇が進行していることも、固定金利における金利上昇リスクの1つです。アメリカとの金利差を埋めるために日本の長期金利が上昇すれば、固定金利タイプの住宅ローン金利も上がる可能性があります。

3.住宅ローン金利の上昇に向けた対策

将来の住宅ローン金利がどうなるのか、金利動向の完璧な予測は専門家でも行えません。しかし、住宅ローン金利の上昇を想定した対策をあらかじめ把握し、計画的に行動すれば、家計に対する影響を最小限に抑えることは可能です。

以下では、住宅ローンを借りる人の状況別に、住宅ローン金利の上昇に向けて検討できる対策を紹介します。

3-1.これから借りる場合は固定金利を選択肢に入れる

住宅金融支援機構のデータによると、2021年4〜9月に住宅ローンを契約した人のうち67.4%は変動金利タイプを選択しました。

出典住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査」

しかし、変動金利タイプには金利上昇局面で返済負担が重くなり、家計を圧迫しやすいというデメリットがあります。また、変動金利タイプは住宅ローン契約時に総返済額を把握できないため、返済計画を立てにくい点も特徴です。金利上昇局面においても家計の安定を重視する人は、全期間固定金利タイプを選択肢に含めると安心でしょう。

ただし、全期間固定金利タイプにも一定のリスクやデメリットは伴います。全期間固定金利タイプを選択する場合の注意点は、以下の通りです。

  • 変動金利タイプと比較し、金利が高い
  • 毎月の返済額がかさみやすい

全期間固定金利タイプは、変動金利の見通しの不透明さに大きな不安を感じやすく、安定的な返済を希望する性格の人に向いています。反対に、家計に比較的余裕があり、金利上昇局面に預貯金で対応できる人は、変動金利タイプ向きです。

変動金利タイプ・全期間固定金利タイプのどちらにすべきか迷う人は、2タイプを組み合わせた「金利ミックス型」を検討するとよいでしょう。金利ミックス型は全期間固定金利タイプと比較して毎月の返済額を抑えられる上、金利上昇リスクにもある程度対応できると言われています。

3-2.変動金利で借りる場合は繰り上げ返済を検討する

変動金利タイプで住宅ローンを借りる場合は、金利が上昇する前に繰り上げ返済することで、完済までに支払う利息の総額を上昇前と同程度に抑えられる可能性があります。繰り上げ返済とは、通常の返済とは別に元金の一部を任意のタイミングで支払うことです。

繰り上げ返済には、期間短縮型・返済額軽減型の2種類があります。それぞれの概要は、以下の通りです。

期間短縮型
  • 毎月の返済負担は変更せず、返済期間を短縮する繰り上げ返済方式
  • 毎月の返済に余裕がある人、極力早く完済したい人向き
返済額軽減型
  • 毎月の返済負担を軽減し、返済期間は変更しない繰り上げ返済方式
  • 毎月の返済に余裕がない人、近い将来に出費の増加が予測される人向き

いずれの種類を選んだとしても、繰り上げ返済をすることで利息を削減することが可能です。繰り上げ返済額が同じであれば期間短縮型のほうが元金の返済に回される金額が多く、利息の軽減効果は高まると考えられます。

ただし、繰り上げ返済の手続きには手数料がかかる点に注意しましょう。頻繁に繰り上げ返済すると、手数料によって利息の軽減効果が低くなる恐れがあります。また、繰り上げ返済により、手元の現金が減少する点にも注意が必要です。繰り上げ返済は、子供の教育費や父母の介護費用などを踏まえた上で、無理のないタイミングで行いましょう。

まとめ

固定金利タイプの住宅ローン金利は2022年以降、徐々に上昇すると予想されます。一方で、変動金利タイプの住宅ローン金利は、固定金利が上昇してもしばらくは現在の水準を維持するでしょう。いずれにしても、住宅ローン金利上昇時の対策をあらかじめ講じておけば、家計に対する影響を最小限に抑えることが可能です。

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