林業再生へ“官民一体”の取り組み
イムラは上質な木の住まいを供給し林業再生につなげる、「官民一体型ビジネスモデル」を構築しました。
吉野杉をふんだんに用いた上質な住まいづくりによって吉野杉の新たな需要を生み出し、室町時代より500年続く吉野林業の再生につなげる取り組みは、イムラならではのビジネスモデルです。
平成12年、イムラは川上産吉野材販売促進協同組合(以下、川上さぷり)と交わした独自の流通ルートで吉野杉をリーズナブルに調達し、住宅に全面的に採用しました。平成27年には川上村と林業4団体からなる「吉野かわかみ社中」が、生産から加工、流通、販売に至る一貫体制の安定供給支援を始めました。これにより、林業再生と森林環境保全につながる官民一体の事業システムが完成しました。
「官民一体ビジネスモデル」2015年度グッドデザイン賞受賞
「高品質で知られる吉野林業発祥の地川上村も需要低迷の波は同様にやってきた。そこでタブーともいえるローコスト化に着手する。しかしかつては他所より2〜3割高く売れたその品質を落とすわけにはいかない。そこで工務店と地域の林業組合と行政が力を合わせる事により、流通の徹底的な合理化を行いつつ、消費者ニーズに合わせた技術供給を含めた販売方法へと転換し、需要に繋がり森林の活性化をもたらした。
林業関係者だけではこのような革命的な取り組みは不可能であった。守る意識が強い日本の林業に攻めて変革するひとつの突破口を見せてくれた。」と、審査委員より評価を受けました。
官民一体ビジネスモデル
吉野材の流通改革 “産地直送システム”の確立
イムラが本格的に川上産吉野杉を住まいづくりに活かすようになったきっかけは、2000年の川上さぷり(川上産吉野材販売促進協同組合)との取引に始まります。 平成の時代に入り国内林業に陰りが出はじめ、最高級品質の吉野材にとっても厳しい時代が訪れた2000年、木造の家を建てたいと考える人々に適切な価格で吉野杉をご提供したいと、林業家たちが集まって設立したのが「川上さぷり」です。
その川上さぷりの「産地直送で流通を変え、需要を拡大しよう」とする思いと、「地産地消を理念に、地元の木を使って地元の気候風土に合った家づくりをしたい」という社長 井村の願いが合致し、川上さぷりとイムラの取り組みがスタートしました。
川上さぷりでは、メンバーが山守となって川上村人工林の育林および原木の伐採出材の請負・木製品の製造製材品企画販売まで一貫して手がけています。イムラは、その川上さぷりと直接取引きし、日本で初めての効率的な産地直送システムと協力体制を確立し、流通の慣例を見直し価格を圧縮。吉野杉を誰もが使用できる材料として供給できる仕組みを確立しました。
最高級吉野杉の家をリーズナブルに “需要創造”
イムラが手がける『吉野杉の家』は、その名の通り構造材も内装材も木部はほぼ吉野杉を使用しています。流通改革に加え、元材木商の知識と経験を活かした合理的な木取りの提案と材料の有効活用で、さらなる吉野杉のコストダウンを実行。その上で、生活者ニーズを意識して洋風空間にも吉野杉を活かし、構造から内装まで一棟丸ごと使用した住宅を企画しました。
また一方では、川上村との協働で「伐採体験ツアー」や「川上村PRイベント」などを催し、吉野杉の価値を広く訴求する活動も行っています。 こうした取り組みの結果、18年間で約800棟(樹齢100年ものに換算し約5万本)もの吉野杉の需要を創造しました。