木材の種類
内装にはもちろん、構造にも木を使った家があります。木を使っているお家であっても、一概に自然素材を使った家とは限らないのです。もしかすると、身の回りの木は加工されていることが多いかもしれません。
自然素材の木を見分けられるようになると、真の自然素材を使った家を建てている会社を見極めることができるようになるかもしれません。
■ 集成材とは
無垢の木の比較対象として、集成材や合板がよく挙げられます。これらは、のこぎりで切った板を接着剤によって張り合わせた木材のことを呼びます。集成材は、のこぎりでカットした木を乾燥させて水分をしっかりと抜くため、乾燥に強く歪みが生じにくい特徴があります。
また、このように乾燥させた木を接着剤で張り合わせることで、もとの丸太よりも大きい木材をつくることができます。ただし、使用する接着剤の種類によって、木材の接着部分がのちのちはがれたり、シックハウス症候群をはじめとする住まいでの健康被害の原因になったりすることもあります。
■ 無垢の木とは
無垢の木とは、丸太から切り出したままの木を製材品として利用する木のことを言います。
接着剤を使わない素材には、どのような特徴があるのでしょう。
無垢の木の効果には、あたたかみや足触りのよさ、調湿性やシックハウス症候群の予防、さらに、香り高いといった特徴があります。木があたたかい理由は、もともとあった水を吸うための道に空気が入っているからです。
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また、無垢の木は呼吸をしているため調湿性があります。無垢の木を内装に使用することで、湿気が溜まりにくく、過乾燥になりにくい効果を得ることができます。
■ 吉野杉の場合
イムラの家づくりで使用している吉野杉を参考に、無垢の木の特徴を紹介します。
無垢の木を家の内装に使うことで得られる効果には、大きく分けてやわらかさや調湿効果、ぬくもりがあります。無垢の床材は、そのやわらかさから衝撃を吸収する素材として、野球のバットや金槌など工具の柄に使われてきました。また、無垢の木は加工して部材になっても呼吸をしているので、調湿効果があります。それに加えて、空気を含んでいるので保温効果にも優れています。
無垢の木の中でもさらに吉野杉は、古来より香りが活かされてきた歴史があります。
吉野杉はその香りのよさから酒樽や醤油樽としても使われますが、実は、香りだけではなく吉野杉そのものに細菌の繁殖を抑える効果もあるのです。近年行われた奈良県の調査によると、大腸菌増殖試験において、菌の増殖を抑制すると実証されています。
*詳細は吉野杉の床のページをご覧ください。《 こちら 》
このように木によってさまざまな特徴があります。理想のお家のイメージに近い木を探すために、無垢の木を使った住宅会社のお家を見学してみてはいかがでしょう。
生き物が生活するのはどんな環境がふさわしい?
いろいろな素材があふれる現代において、人々が生活する環境も変化しています。住宅にはコンクリートや鉄、木などさまざまな材料が使用されています。
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これらの材料は、それぞれの特徴を活かし使用目的や使用場所が異なります。もし、これらの素材を使ってお家づくりをするなら、どのような印象があるでしょうか?
鉄やコンクリートを使ったお家は強い印象があり、その一方で、木を使用したお家はやさしい印象がありませんか?
もし、私たちの健康が身のまわりの素材によって左右されるとしたらいかがでしょう?ご自身が生活するなら快適な環境で健やかに暮らしたいですよね。
■ マウスを使用した実験
まずは、マウスを使用した実験を見てみましょう。
この実験は、木と金属、コンクリートの小屋の中でマウスの成長を観察し、生き物が暮らすのに適した素材は何かについて考えたものです。
その実験では、木製の小屋に入れたマウスの生存率と体重増加率が一番高い結果になりました。また、生後23日時点の生存率をデータで見ると、木製の小屋が85%の生存だったことに対し、金属製の小屋は41%、コンクリート製の小屋はたった9%でした。
なぜ、素材が違うだけでこのように差が出たのでしょうか?
それは、マウスにとって体力を奪われにくい環境が木だったと考えられます。このマウスの実験結果をそのまま人に置き換えるわけにはいきませんが、少なくとも木は、生き物の住まいの素材に適していると言えるのではないでしょうか。
■ 子どもが長く過ごす学校校舎
次に、主な素材の異なる2種類の校舎で過ごす、子どもの健康状況を比較したデータを見てみましょう
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鉄筋コンクリート造の校舎 |
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木造校舎 |
立地条件が近しい、【鉄筋コンクリート造の校舎】と、【内装にも木を使用した校舎】に在籍する小学生のストレス反応(腹痛や頭痛など11項目)を比較したデータがあります。
両校に共通する症状には、疲れ(37%)や眠気(30%)がありました。鉄筋コンクリート造の校舎に在籍する子ども達は腹痛や風邪、耳鳴りや目の疲れの項目においては、木造校舎に在籍する子どもに比べて、鉄筋コンクリート造の校舎に在籍する子ども達の回答で高い割合を示していました。
以上の2つのデータから、木は人が過ごす空間に適した素材であることがわかります。
この結果は、木がもつ触れた時のぬくもりや、やわらかさ、香りによるものではないでしょうか。人が長時間過ごす環境、少なくとも目に触れる場所には木を使いたいですよね。
しかし、この効果は木であれば何でもよいというわけではなく、木の加工方法よっても大きく変わります。
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どんな木がいいの?
「木の違い」と言われてもピンときませんよね。もしかすると、木製の小物を思い浮かべた方もいらっしゃるかもしれません。木製の小物は、木のあたたかさを感じられるものが多いですよね。
一方で、お家や家具の材料として使われている木の印象はいかがでしょう。日常生活で身近な木といえば、お家のフローリングや机の天板などでしょうか。
こうしたものには、集成材が使われることがあります。冬場の生活を思い浮かべてみてください。フローリングや机は木でできているはずなのに、なぜか冷たいと思ったことはないでしょうか?また、実際に冷えきったフローリングを裸足で歩いて、冷たい思いをした方も多いかもしれません。集成材と無垢の木にはどのような違いがあるのでしょうか。
木の加工方法はさまざまで、大きく分けて木の表面に膜を張るか・張らないかに分けることができます。フローリング板の製造過程を踏まえて紹介します。
■ 合板フローリングの特徴
お家のフローリングについて見てみると、ウレタン樹脂を主成分とした塗料を塗装したウレタン塗装品が圧倒的に多いです。
なぜなら、このウレタン塗装品は、温度や湿度の変化に強く、一枚一枚の木目や色合いが均一で、フローリングの施工にかかる手間を抑えられるからです。
そして、フローリング材に使われる合板は、複数の板を張り合わせて圧縮しているため、木に備わっていた水の通り道が塞がれています。
そのため、もとの木よりも空気を含む量が少なくなり、あたたかみが失われてしまうのです。
板の表面にウレタンの膜を張ることで得られる効果は、床板の傷や、板の反りを防ぐことです。しかし、膜を張り、木の呼吸を止めてしまうことで、木がもつあたたかみや香りがなくなってしまいます。また、合板を使ったフローリング材の場合は、木の保有する空気の量が少ないことから、さらに冷たく感じてしまいます。
■ 無垢の木フローリングの特徴
表面に膜を張らないフローリング材を扱う住宅会社もあります。そういった会社では、無垢の木を使用することが多いです。
膜を張らない効果は、木の呼吸を止めないので、木がもつ香りやあたたかみを最大限に引き出し、それを持続させることができます。
ただし、傷がつきやすかったり、木が反ったりすることもあります。しかし、その傷がアイロンと濡れ雑巾によって、ある程度修復できることはあまり知られていません。ぜひ、無垢の木を扱う工務店などで無垢の木の特徴をお確かめください。
イムラの「吉野杉の家」
イムラでは、ご家族の健康的で快適な生活を一番に考え、珪藻土などの自然素材に加え、奈良の最高級の銘木“吉野杉”を膜を張らない自然塗料で仕上げた床板をはじめ、天井板や、窓枠など、ふんだんに使用しております。
その吉野杉は健康面だけではなく、豊臣秀吉が築いた大阪城や伏見城にも使用される程の強さも兼ね揃えた木です。イムラではその吉野杉を腕のいい大工や建具職人が丁寧に仕上げています。
まとめ
イムラでは、吉野杉を使用したお家の香りや触れた時に感じるぬくもりなど実際に体感いただく機会を設けています。
展示場はもちろん、実際に住まわれているお家をご見学いただけるイベントを開催しております。また、イムラでは構造部分にも無垢の吉野杉をふんだんに使用しており、建築中の現場案内も行っております。完成すると隠れてしまうため、実際の構造をご覧いただくと、安心した気持ちでお住まいいただけるのではないかと思います。こちらも併せてお気軽にご参加ください。
*イベント情報は《 こちら 》
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イムラは奈良・大阪で家づくりを行っている工務店です。建替えや新築・リノベーションについてのご相談を承っております。お気軽に、お近くの展示場にて吉野杉の香りとあたたかみをご体感ください。みなさまのご来場を心よりお待ちしております。