家を建ててから気づく人がいる10の失敗事例
数ある住宅種別の中でも、新築注文住宅は「予算を念頭に置きながらも、自分たちのこだわりを詰め込める」としてとくに人気があります。しかしその一方で、ネット記事を中心として「失敗した!」という情報があるのも事実。実際に、注文住宅を新築で建ててから「ここはこうしておけばよかった」と感じる人は少なからずいらっしゃいます。
家づくりの依頼先であるハウスメーカーや工務店、建築会社、住宅会社は、あくまでもお客様が希望されるプランを実現しようと頑張ってくれますが、全ての提案が満足いくものとならない結果となる可能性も少ないながら存在します。家を建ててから後悔しないためには、お家づくりをお願いする側もどのような失敗が起こり得るのかをあらかじめ理解しておくことが大切です。多くの先輩たちが経験した失敗ポイントとその内容を理解しておけば、家を建ててから後悔するリスクを回避することができるかもしれません。
そこでまずは、注文住宅において代表的な失敗例を「間取り」「温度・空調」「照明・採光」「エクステリア・屋外スペース」の4つのジャンルに分けて説明します。
間取りに関する失敗事例
間取りに関する主な失敗事例は、下記の通りです。
- 想像よりも部屋が狭かった
注文住宅を建てるとなると、リビングやキッチンをはじめとした水廻り部分に重点を置く傾向にあります。共有部分にこだわりを取り入れすぎたせいで、個人のプライペートスペースとなる部屋(=居室)が想像よりも狭くなってしまうという失敗事例は珍しくありません。
- 間取りが使いにくかった
間取り設計の段階ではとくに気にならなかったものの、実際に住み始めてみると使いにくい間取りで、家事や掃除がかえってしづらくなった、また動線が延長され面倒になったというケースです。あらかじめご自身の要望を明確にしたうえで、家事動線を考えた間取りづくりを行えば失敗は防げます。
- 収納の数・広さが足りなかった
「子どもが成長するにつれ、収納スペースが足りなくなってきた」「家族全員が集まるリビングに収納スペースが不十分で片付かない」など、収納スペースに関する失敗もよくある話です。必要な収納スペースの場所、そして幅や高さ、奥行きを明確化するだけでなく、将来的なライフスタイルの変化も意識して収納スペースをつくるとよいでしょう。家が狭く、ウォークインクローゼットなどの十分な収納スペースがとれない場合は、床下収納をつくって有効に活用することもおすすめです。
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温度・空調に関する失敗事例
温度・空調に関する主な失敗事例は、下記の通りです。
- 冷暖房の効率が悪かった
エアコンなどの空調設備によっても冷暖房効率は異なりますが、最も重要なのは家のつくり(構造)です。気密性・断熱性の低い家は冷暖房効率が下がり、最近人気のある吹き抜けなど開放感のあるつくりはとくに「夏は冷えず、冬は暖まらない」という事態が起きる可能性があります。冷暖房効率が悪くなってしまう要素を増やさない・気密性や断熱性をアップさせる工夫を取り入れるなどして、空調に関する失敗を防ぎましょう。
- 部屋の中で温度差が生じた
暖かい空気は、上へとのぼる性質をもっています。そのため、吹き抜け住宅の場合は1階よりも2階のほうが暖かくなる傾向にあり、1階のリビングと2階の部屋に温度差が生じるケースも少なくありません。「冷暖房効率は多少下がっても、これだけは外せない」という強いこだわりを取り入れる場合は、シーリングファンを設置する・間仕切りをつくるなど、冷暖房効率の低下を少しでも防げる工夫を取り入れましょう。
照明・採光に関する失敗事例
照明・採光に関する主な失敗事例は、下記の通りです。
- 想像よりも暗かった・明るすぎた
室内の明るさは、照明だけでなく窓の大きさや数、日光の差し込み方や時間帯などさまざまな条件で大きく異なります。そのため、実際に住み始めてから「思ったより暗い/明るすぎる」と感じるケースも珍しくありません。このような失敗を防ぐためには、設計図を決める段階で実際に家の建つ場所に足を運んで採光の度合いを見たり、窓の大きさや数を変えたりすることが有効です。また、間接照明はほどよい明るさにしてくれるだけでなく、おしゃれな印象を演出できることから、近年人気のある照明設備の1つと言えます。
- 照明のスイッチが不便な場所にあった
玄関の照明スイッチを玄関口にしか設置しなかったため、荷物を持って帰宅した時はリビングに荷物を置いてから再度玄関まで行って照明を消さなければならなかった、など、照明スイッチの設置場所による失敗事例も、意外と多くあります。このような失敗を防ぐためには、実際の暮らし始めてからの生活スタイルを具体的にイメージし、生活動線に適した場所にスイッチを設置することが最も有効です。
エクステリア・屋外スペースに関する失敗事例
エクステリア・屋外スペースに関する主な失敗事例は、下記の通りです。
- 思っていたよりもベランダ・バルコニーが狭かった
屋内スペースに重点を置くため、外廻りが小さくなってしまうというケースも多々あります。しかし、実際に住宅が完成したとき「思っていたよりも狭かった」と感じてしまうケースも後を絶ちません。特にベランダ・バルコニーは家族の人数が増えたり、子どもが成長したりすると、洗濯物を干す量が増え、将来の家族構成の変化も考慮して広さを決めるとよいでしょう。
- 駐車場・駐輪場が狭くて不便だった
駐車場・駐輪場においては、「思ったよりも狭く、自転車や原付バイクを出すためには一度車を移動させる作業が発生してしまうようになった」という失敗事例が多くあります。マイホームが完成した時に少なかった乗り物も、子どもの成長やライフスタイルの変化によって台数が増える可能性があることも考慮して、なるべく余裕のあるサイズでつくっておくとよいでしょう。
- 使わないものを設置して邪魔になってしまった
ウッドデッキやテラススペース、中庭は多くの人にとって憧れとなるものですが、活用シーンが少なく、結果として「設置している机やベンチが邪魔になってしまった」というケースも珍しくありません。あってもなくても生活に支障の出ない範囲のものについては、「今後の生活スタイルを考えたとき、本当に必要かどうか」を考えたうえで取り入れることがおすすめです。
家づくりで失敗しない対策のポイント2つ
家づくりでの失敗を防ぐためには、具体的な失敗事例をおさえるとともに、家づくりの全体に関する考え方も重要です。とくに、「情報収集をしっかりと行う」ことと、「将来的なライフスタイルの変化まで考慮する」ということの2点は大切なポイントとして挙げられます。
ここからは、それぞれのポイントについてより詳しく紹介します。
情報収集をしっかりと行う
家づくりを始める前は、必ず情報収集を行っておきましょう。ある程度の情報を把握しておかなければ、アイデアが狭まり、結果として失敗リスクが高まってしまうためです。
収集しておくべき情報は、失敗事例のほか、どのようなデザイン・性能の家があるのかなどさまざまあります。「これだけは外せない」という強いこだわりがある場合は、そのこだわりを取り入れた際のデメリットや、デメリットを払拭するための工夫までも理解しておくとよいでしょう。
情報収集をしっかりと行うことで、イメージづくりが簡単になり、打ち合わせもスムーズに進めやすくなります。
とくに、部屋の広さについては、展示場は広すぎてあまり参考にならないケースがあります。できれば実際に自身が希望される坪数と同じ広さの家を事前に見学し、各部屋の広さを体感しておくと後々の間取り決めに非常に役立ちます。各住宅会社の見学会やホームオーナー様邸の訪問などは積極的に参加しておきましょう。
将来的なライフスタイルの変化まで考慮する
家づくりの失敗を防ぐためには、将来的なライフスタイルの変化までしっかりと考慮するようにしましょう。たとえば、一人ひとりの子ども部屋をつくっても、将来子どもが巣立ったとき、使わない部屋数が増えてしまうこととなります。また、家族の誰かが介護の必要な状態となったとき、階段はおろか少しの段差でもケガのリスクが高まってしまうでしょう。
ライフスタイルの大幅な変化にしっかり対応するためには、リフォーム・リノベーション工事が最も適切ですが、それを見据えた家づくりをしなければ、やりたいリフォーム・リノベーションも行えなくなってしまう可能性もあります。
自分たちのこだわりをふんだんに取り入れたおしゃれな住宅も魅力的ですが、将来的なライフスタイルの変化やメンテナンス・改修の必要性を踏まえたうえで、「一生過ごせる家づくり」を行うことが最も重要と言えるでしょう。
まとめ
「せっかく多額の費用をかけて注文住宅を建てたにもかかわらず、失敗してしまった・後悔している」という事態にならないためには、どのような失敗が起こり得るのかをあらかじめ理解しておくことが大切です。失敗事例を見ることは、手っ取り早い情報収集方法と言えるでしょう。
また、家づくりでの失敗を防ぐためには失敗事例をおさえるとともに、家づくりにおける考え方も重要です。情報収集をしっかり行うこと・将来的なライフスタイルの変化を考慮することの2点を重視して、「長く安心して住める家づくり」を行ってみてはいかがでしょうか。