木造住宅の構造は2種類
木造住宅の構造は、木造軸組工法(在来工法)と木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)という2つの建築工法によるものに分けられます。他にもさまざまな種類の建築構造や工法が存在しますが、木造住宅の建築では、2種類のどちらかが採用されることが一般的です。
ここでは、木造軸組工法(在来工法)と木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)について解説します。
1-1. 木造軸組工法(在来工法)
木造軸組工法は、日本で最も普及している代表的な建築手法で、在来工法とも呼ばれます。基礎の上に、柱と梁で骨組みを築いて屋根を設置した後に、壁や窓を取り付けて家を作る工法です。
昔は木材自体を加工して、柱や梁を組み合わせるのが一般的でした。しかし、現在ではより耐震性を高めるために木材接合部をボルトなどの接合金物で固定したり、筋かいや構造用合板で補強したりする方法が用いられます。また、在来工法では雨が多い日本の気候に合わせ、床よりも屋根を先行して建築します。
柱や梁の間に空間が生まれるため、窓などが確保しやすく、比較的間取りの自由度が高い点と日本の気候に適している点が特徴です。
1-2. 木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)
木造枠組壁工法は、2インチ×4インチのパネル状の部材を組み立てて建築する方法で、ツーバイフォー工法とも呼ばれます。1970年代に欧米から伝わり普及した工法で、使う木材や釘の大きさが決まっているため、短期間で組み立て可能となっています。
木材接合部には、釘や接着剤が使われます。木造枠組壁工法は、北米の気候に合わせて考えられた建築工法であるため、1階の床や壁から組み立てます。屋根を最後に組み立てるため、雨対策をしっかり行える業者を選ぶことが大切です。
在来工法とツーバイフォー工法の違い|4つのポイントから比較
上記のように、在来工法とツーバイフォー工法は、木材の接合方法や組み立て方が異なります。工法が違えば、木造住宅の性質にもさまざまな影響があるため、各性質について理解しておくことが大切です。
ここでは、在来工法とツーバイフォー工法の違いに関して、耐震性能や間取りの自由度をはじめとする4つのポイントから解説します。
2-1. 耐震性能
日本では建築基準法により耐震基準が規定されているため、在来工法とツーバイフォー工法のどちらの構造でも、一定の耐震性能が確保されています。ツーバイフォー工法のパネルを組み立てて6面で支えるモノコック構造は、飛行機にも採用されるほど強固な構造として有名です。ツーバイフォー工法のほうが在来工法よりも地震に強い木造住宅が建てられると言われた時代もありました。
しかし、現代の在来工法では筋交いの代わりに構造用合板を使うなど、ツーバイフォー工法の利点を取り入れた強度が高い建築方法が多く見られます。在来工法でも地震に強い耐震構造を実現できる時代になったため、どちらの工法が耐震性に優れているとは言い切れないでしょう。
2-2. 間取りの自由度
ツーバイフォー工法の場合、建築で使うパネルの大きさが決まっているため、施工途中での間取り変更や数センチ単位の調整に対応できません。在来工法は、柱と梁などで点と点を結ぶように木材を組み立てていく工法です。組み方次第で、空間の広さや形を自由に設計できるため、在来工法のほうが間取りの自由度が高いという特徴があります。
具体的には、「吹き抜けのある開放的な大空間を設けたい」「階段の下に収納を設けたい」といった要望にも柔軟に対応してもらいやすいでしょう。また、在来工法は空間を自由に造り出せるため、狭い土地や変形地でも敷地を有効活用した理想の住まいを実現しやすいのが特徴です。
2-3. 開口部の広さ
開口部は室内窓や天窓、玄関といった、室外や屋外に通じる窓と出入り口を指します。設置場所や用途によって、開口部の大きさや形状にこだわりたい方も多いのではないでしょうか。
ツーバイフォー工法より、点と点で結ぶように木材を組み立てる在来工法のほうが、開口部の広さについて自由度が高いです。ツーバイフォー工法では開口部の微調整が難しいケースもありますが、在来工法では柱の間隔を変えるなどの対応により、開口部の形状や大きさを自由に調整できます。
在来工法では、大きな窓から光を取り入れたり、玄関を広くしたりという希望を叶えやすいのも特徴です。
2-4. リフォームの行いやすさ
最近では、ライフステージに合わせて、住宅の間取りを変更するリフォーム事例も多く見かけます。「子どもの成長」「高齢の親との同居」など、将来リフォームを考える可能性もあるかもしれません。
壁で家を支える設計のツーバイフォー工法では、壊せない壁が多く、リフォームなどで空間を広げるのは比較的難しいと言われています。一方、在来工法は構造上に問題がない場合、柱や壁を取っ払う大規模なリフォームが実現できます。新築時に間取りの自由度が高いだけではなく、リフォーム時にも間取りが変更しやすい点が在来工法の魅力です。
また、ツーバイフォー工法ではメーカー独自の施工方法が存在するケースも見られ、リフォームの依頼先も限られる場合があります。古くから日本で採用されてきた在来工法は、対応できる施工業者が多く、リフォームを依頼する会社選びの際にも安心です。
木造住宅のメリット3つ
木造住宅のメリットとして、以下の3つを紹介します。
(1)調湿機能がある
調湿機能とは、室内の湿度状況に応じて木材が空気中の水分を吸収したり、蓄えた水分を放出したりする作用のことです。木造住宅に用いる木材は、鉄骨系の素材に比べて吸湿性や放湿性に優れていて、カビや結露の発生を抑制しながら、快適な住空間を維持することができます。また、木材はコンクリートなどの素材と比べると、熱伝導性が低く断熱性が高いのが特徴です。
(2)デザインの自由度が高い
とくに、在来工法は木造建築の中でも間取りの自由度が高く、希望のデザインを実現しやすいでしょう。多くの建材は在来工法を前提に開発されているため、外観や内観に関係なく、幅広い設計バリエーションに対応してもらえることもメリットです。
(3)業者の選択肢が多い
工務店やハウスメーカー、設計事務所など、多くの業者が木造住宅を提供しています。多くの業者を比較検討しながら、理想の住まいを形にしてくれる業者を選択できることも、木造で家を建てる魅力です。
木造住宅のデメリット2つ
(1)業者によって品質に差がある
木造住宅は、現場で木材を加工しながら工事を進めていくことが一般的で、職人の建築技術によって仕上がりに差が出やすい点が特徴です。過去の実績や口コミを確認したり、実際に建築工事の現場を見学させてもらうなど、技術力や対応力が信頼できる業者を選ぶ必要があります。
(2)害虫被害に遭遇することがある
木造住宅は、シロアリ害虫などが発生しやすい点がデメリットです。しかし、鉄骨造の住宅でも、床下地や屋根下地は木材を多用しているケースがあります。木造住宅に限らず、定期的な薬剤散布や防蟻点検により、害虫被害のリスクを軽減することが大切です。
まとめ
日本で木造住宅を建てる場合、木造軸組工法(在来工法)により家を建てることが一般的です。木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)に比べて、木造軸組工法は間取りの自由度が高く、大きな窓・扉を設置しやすいという魅力があります。耐震性能に関しては、改良が進み、木造軸組工法であっても非常に高い耐震性を実現できるようになっています。
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